話を聴いてもらうだけで半年で売上が4倍になった話

話を聴いてもらうだけで売上4倍

売上が半年で4倍になった保険営業マンのストーリー

ある外資系生命保険会社に勤める営業マンがいました。彼はすごく勉強熱心で、商品知識はもちろんのこと、前職時代から金融や法律に関する学びをしていたので、税や法律にも非常に詳しく、他の保険営業マンとは比べ物にならないほどの知識を持っていて、顧客からは非常に頼りにされていました。

しかし、その知識量に見合った売上があったかというとそうではありませんでした。彼が私のところに相談にきたのは、営業成績に伸び悩んでいたタイミングでした。

これは、そんな営業マンに対して私が話を聴くことを繰り返し、結果、半年で売上が4倍になったという実話ストーリーです。話を聴くというのは特別に難しいことではないのですが、話の聴き方は少しコツが要りますので、ご紹介させていただければと思います。

申し遅れました。私は、Livelyで研究開発チームのリーダーをしている藤田大樹(ふじた だいじゅ)と申します。

藤田大樹プロフィール

1982年、北海道札幌市出身。京都大学総合人間学部、名古屋大学大学院理学研究科物質理学専攻を経て、IT企業に就職。エンジニアとして先端技術のシミュレーション研究開発プロジェクトにアサインされるも、心の健康を害し、離職。カウンセラーと出会い、回復したことをきっかけに、心理学の分野に興味をもつ。表層化された課題を解決するだけではなく、本質的な問題を解決し幸せになって欲しいと願うようになり、ICF(国際コーチ連盟)プロフェッショナル認定コーチ、EAPメンタルヘルスカウンセラーの資格を取得し、エグゼクティブ・コーチとして独立。多くの経営者らの伴走支援をする中で、Livelyと出会い、意気投合し、研究開発チームのリーダーとしてLivelyに参画する。現在は英国のストラスクライド大学大学院で、心理学を学び、事業に活かしている。

目次

アクティブリスニングで探求する深層の自分

私は、主に経営者を相手にコーチングを生業としていますので、時に指導やアドバイスをさせていただくこともあります。「時に」と言ったのは、一番重要なことが指導やアドバイスではない、というコーチングの考え方に基づきます。

実際に、彼との対話の時間のほとんどは、私が「話を聴く」というのがメインです。むしろ、それ以外のことはしていないと言っても過言ではないほどです。じっくり聴き、質問し、また話を聴く、その繰り返しです。まさに「アクティブリスニング(積極的傾聴)」を繰り返しました。

聴いた内容は、現在の仕事の内容にだけとどまりません。以前の仕事や私生活、時に生い立ちにまで遡ります。あとで聞いたのですが、彼は最初「生命保険をもっと売れるようになりたくて相談しているのに、なんでこんなことを聴くんだろう?」という感覚もあったそうです。

それでも私は聴くこと、質問すること、そして聴くことに徹しました。簡単に答えられる質問だけではなく、時に「うーん」と考えさせるような問いかけもしていきました。

良い質問とは、良い思考を引き出し、良い気付きをもたらします。彼は、私の質問に答えていくうちに、様々なことに自ら気づいていきました。

自分が営業マンとして本当にやりたかったことは何か、自分が自信のある得意なことは何か、そして逆に自分の苦手なことは何か、「売れない」という課題の原因を解明するというよりは、売れないと思っている自分の思考をほぐしていくような感じです。

営業マンが売れない理由

一般的に、営業マンが売れない理由は、3つのいずれかになることが多いです。

  1. 行動量が少ない
  2. やり方が悪い(スキルが低い)
  3. マーケットが悪い

ですが、仮にそれがわかったところで、「行動量が少ないですね、では行動量を増やしましょう。何ができますか?」で、行動量を増やすアクションプランを立てたとしても、成果には至らないことが多くあります。

大切なことは、自分で気づくことであり、自分が納得することです。そして、表面的な課題解決ではなく、その課題が起こしている自分という人間の特徴をはっきりと分かっていくことこそが重要になります。

私は、答えを教えることは一切せずに、とにかく聴くこと、質問すること、そしてまた聴くことを繰り返しました。彼は自分が空回りになっている原因がはっきりしていきました。

自分のトリセツに気づく

気づきを得た彼は、それまでのようにがむしゃらに動くことをむしろ止めました。むしろ、思い切って他人の力を借りるべきだという結論を導き出しました。

金融や法律の知識が非常に豊富であるがゆえに、個々の顧客の事情を加味した最適化された緻密な設計をつくることには非常に長けていました。どんなに難しい状況でも、彼であれば最適解を導くことができるという信頼が同僚たちの中にもありました。

一方で、彼は親切心ゆえに初めてあったお客さまにも、難しい話を沢山しがちでした。そこで、顧客候補との接点づくりや基本的な説明は思い切って自分ではやらずに、他の人に任せるかわりに、自分は金融の専門家として、課題を最も合理的に解決できるプランを設計し、その説明をするという役割を担うことに振り切りました。

まさに、自分一人で何でもやろうとするのではなく、他の人たちと協力しあい、トータルで大きな成果を出すという大きな方針の転換でした。自分の取扱説明書(トリセツ)を手に入れたからこそできる決断でした。

自分で気づくからこそ、情熱的に動き出せる

スッキリした表情の彼は、相談の最後に「とてもいいアドバイスをありがとうございました」と伝えてくれました。私は「私は何もアドバイスしていませんよ。全部自分自身で気づいたことですよね」と返しました。

その言葉は謙遜ではなく、実際にその通りだったのです。彼はアドバイスや教えによってではなく、自分自身が話をすることで得た気付きにより、自分自身の特性を知り、自分自身で行動指針を決め、行動を開始することになりました。

実行に移した成果は、表題の通りで、半年ほどで売上が4倍になりました。それまで噛み合っていなかった歯車が噛み合うことで、仕事でのストレスを下がり、以前よりもより仕事に情熱的にパワーを注げるようになっていきました。結果、社内でのポジションも上がり、他の営業マンたちを指導する立場にもなっていきました。

さらなる飛躍への挑戦

それから4年程たち、彼は勤め先の会社の枠にとらわれず、顧客に届けられる価値を最大にするため、独立して新たな会社を立ち上げました。

彼は、弟さんの難病とそれに関連する自身の経験から、将来は子どもたちの貧困対策や教育支援を行いたいという夢を持っていました。財団を作り、財団の運用益により、持続可能な支援しつづけられる仕組みを作りたいと考えていました。今、彼はその信じた未来を作るために新たな挑戦をしつづけています。

営業マンにこそアクティブリスニング

この記事を読んでくださっている方の中には、「そんなにうまくいくはずがない」と思われた方もいらっしゃると思いますが、これは実話ですし、そんなに珍しいことだとは思いません。

もちろん、全ての方に目に見える大きな成果がすぐ出るとは限りませんが、話を聴いてもらうことにはすごく大きなメリットがあります。

話を聴いてもらうことでストレスが軽減し、ポジティブな気持ちが高まるという効果があります。癒やし効果もあると言えます。同時に思考が整理される、自分自身の特徴や現在の状況を客観視できる、それにより、今まで思いつかなかった解決策に自ら気づくことができる。

これらを通して自分自身の能力を最大限に発揮できるようになる、そんな理由で話を聴いてもらうということもオススメしています。

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この記事を書いた人

藤田大樹のアバター 藤田大樹 株式会社Lively CRO 研究開発チーム責任者

1982年、北海道札幌市出身。京都大学総合人間学部、名古屋大学大学院理学研究科物質理学専攻を経て、IT企業に就職。エンジニアとして先端技術のシミュレーション研究開発プロジェクトにアサインされるも、心の健康を害し、離職。カウンセラーと出会い、回復したことをきっかけに、心理学の分野に興味をもつ。表層化された課題を解決するだけではなく、本質的な問題を解決し幸せになって欲しいと願うようになり、ICF(国際コーチ連盟)プロフェッショナル認定コーチ、EAPメンタルヘルスカウンセラーの資格を取得し、エグゼクティブ・コーチとして独立。多くの経営者らの伴走支援をする中で、Livelyと出会い、意気投合し、研究開発チームのリーダーとしてLivelyに参画する。現在は英国のストラスクライド大学大学院で、心理学を学び、事業に活かしている。

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